ファンベース (ちくま新書)

なぜ読むか

ファンベースの考え方
ファンとは何か
ファンの作り方とは
カスタマーサクセスにも通じるのではないか

ファンを大切にし、ファンをベースにして、中長期的に売上や価値を上げていく考え方
ベースには土台、支持母体などの意味がある
ファンとは
ファン = 支持者
企業やブランド、商品が大切にしている「価値」を支持している人

企業活動とは関係ないコミュニティ運営者、サークル運営者なども含めて、今後、ファンベースという考え方抜きで発想するのは難しくなる
なぜか?
少数のファンが売上の大半を支えている
今いるファンを大切にしてからあのライフタイムバリューを上げていくことは、収益の安定・成長に直結する

瞬間的なリーチは意味がない(p.22)

リーチして認知を獲得した後にどうするのか
どうやってその気持ちを継続させ、ファンにしていくのか
どうやってファンたちのライフタイムバリュー(LTV)を上げていくのか
それらをあらかじめ構築したうえでリーチしないと意味がない

好意を持ってくれた人(ファンの入り口に立った人)の好意を資産化して積み上げていくこと
資産化とは
ファン・コミュニティの参加人数を増やす」のような「数」の発想ではない
短期施策や単発施策で気づいてもらった「価値」に対する「好意」を積み重ねていくことが必要

第二章 ファンベースが必然な3つの理由

ベースとは、売上を中長期的に支える「土台(ベース)」のイメージ
ファンを、企業やブランド、商品が大切にする価値を支える「支持母体(ベース)」として考える
ブランドや商品の「価値」、使われ方・愛され方、喜ばれるポイントも時代とともに変化する
その変化をファンという支持母体とともに見極め、改善を繰り返す過程もファンベースの一部
よくある間違い
「今いるファンを大切にする」 = 「そのブランドや商品の「現在の価値」を支持してくれるファンと一緒にそれをキープする」と考えること
「現在の価値」が好きでファンになっているため、変わらないでいてほしいという部分もある
価値の延長線上にある、もっといい「未来の価値」にも強く期待しているし、それを企業と一緒に夢見たいと思っている
ファンとともに変化・成長し、未来の価値を創出していくこと
ファンから儲けようとするだけの「ファン・ビジネス」や「ファン・マーケティング」とは違う

ファンベースが必然な3つの理由
1. ファンは売上の大半を支え、伸ばしてくれるから
2. 時代的・社会的にファンを大切にすることがより重要になってきたから
3. ファンが新たなファンを作ってくれるから

カゴメの事例
売上の半数を占めるコアファンが少しずつ離れていっていることに危機感を覚え、「&KAGOME」というコアファン限定のコミュニティ・サイトを作った
間違いなくカゴメ商品が大好きで実際に日々購入いただいている常得意顧客が集まる場を作ること
コアファンと濃密に付き合うことで、彼らの気持ちが離れるのを防ぎ、収益を安定させようとしている

成功体験を脱ぎ捨てないといけない時期に来ている(p.52)

マスという大きな塊に大量に売れた時代の「成功体験とそのやり方」を信じている役員や管理職も多い
変化
日本社会の変化により、新規顧客はどんどん減っている
高齢化社会・・・「新規の商品に手を伸ばすこと」が減っていく
人口の半分が独身・・・「ライフステージの変化による新しい需要」も減る
USPはすぐに追随され、陳腐化する
先行商品は(そのUSPが優れていればいるほど)すぐに後発に研究され、マネされ、陳腐化され、安価化されてしまう
先行しているうちにファンにしておかないといけない

価値観が近い人が愛用しているモノは自分も愛用する可能性が高い(p.72)

価値観が近い友人がツボにはまるコンテンツは自分もツボにはまる可能性が高い
価値観が近い友人が愛用しているモノは自分も愛用する可能性が高い
価値観が近い友人が熱中するコトは自分も熱中する可能性が高い

ソーシャルウェブの登場により、多種多様な人々と交流することが可能になった」という考えを抱いてしまうかもしれない。しかし実際は、私たちは自分に似た人々としか交流していない。これは「ホモフィリー(同類を好む傾向)」と呼ばれ、さまざまな角度から研究されてきた現象であり、ソーシャルネットワークにおける基本的な構造のひとつである。

「自分の言葉」が周りの類友や友人に届くこと
誰かに言わされたのではない、自分の中から出てきた言葉、心からの本音

ファンベース施策
ファンがオーガニックなオススメをする
きっかけを作る
言いたくなるような状況を作る
言いやすくなるような環境を作る

ファンとは少数であり、全体の20%くらいである(p.89)

ファンベース施策の時、一番間違えがちなのは「全員にファンになってもらいたい」と望んでしまうこと
「全員をファンにしよう」とするとファンができにくいし、今いるファンが離れる場合もある

ファンの支持を強くするための三箇条

その価値自体を、アップさせること => 「共感」を強くする
その価値を、他に代え難いものにすること => 「愛着」を強くする
その価値の提供元の評価・評判を、アップさせること => 「信頼」を強くする

具体的にどうやって常連さんを大切にし、作り、増やしていくのか(p.94)

プランニングの時に重要なのは、「伝えたい相手は誰か」

役員や上司などのキーパーソンに参加してもらうと、その後のファンベース施策が格段に進めやすくなる
車内の他部署を巻き込むきっかけとしてもファン・ミーティングは大切
自分たちが時代からずれていっていないか、価値観がブレていないか確認する

ファンは実は自信がない

褒めていいのかどうか、友人に薦めていいのかどうか、自信がない
日本人

「真実の瞬間」

ユーザとの接点を大事にすることが大事meganii.icon
そのまま記憶に残る「体験」となる
e.g.
航空会社の客室乗務員の15秒
コールセンタ

ファン・コミュニティで稼ごうとしない

Don't Sell to the Community / Sell Through the Community
ファンには売るな、ファンを通じて外に売れ
AWS(JAUS)の事例が紹介されていたが、Tableauコミュニティにも通じる話だと感じた

大抵の企業では、ファン・コミュニティより「傾聴」が先
コミュニティを作っても「墓場」みたいに閑散としてしまうとそこに来た人が「自信を無くす」

時間がかかるのではない。じっくりと「時間をかけたい」のである
手間がかかるのではない。真摯に丁寧に「手間をかけたい」のである
手離れが悪いのではない。楽しいから「手を離したくない」のである
効率が悪いのではない。出来るだけ長く「苦労をかけてつきあいたい」のである


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